都庁公務員の有給休暇日数や消化率の状況が知りたい…
あと、国家公務員や民間企業と比べてどうなんだろう…
今回は、こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- 都庁公務員の年休制度
- 直近5年間の平均取得日数
- 国や民間企業との比較
- 実際の年休取得事情
この記事を書く私は都庁職員歴7年。民間企業で働きながら、都庁への転職を経験しました。
今回は、都庁職員の年次有給休暇(以下、「年休」)について実情を紹介していきます。
結論から言って、都庁公務員の年休は取りやすく、とても恵まれた環境にあります。(消化率も高い)
本記事を読み終えると、都庁公務員がどれくらい年休を取っているのか、また民間や国家公務員と比べて高いのかが分かります。都庁公務員の有給休暇事情が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください!
都庁の年休制度
年次有給休暇
都庁の年休は1年で20日付与されます。新規採用職員(4月入庁)は15日です。
「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」で決まっているからです。
具体的には、毎年1月に付与され、前年に残っていた日数は20日まで繰り越すことが可能なので、1年間で最大40日持てることになります。
また、丸1日利用できるほか、午前や午後のみ利用する「半休」や1時間ごとに利用する「時間休」などの使い方もできます。
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例 第14条
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000355.html?id=j14_k1
夏季休暇
年休とは別に、夏の期間(7月1日から9月30日まで)利用できる夏季休暇が5日あります。「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則」に定められているからです。
利用できる期間は、通常は7月1日から9月30日までですが、オリンピックや新型コロナウイルスの影響など、年によっては期間が拡大されます。2020年は、6月1日から10月30日まででした。
なお、使い方は年休とは違い、半休などは使えず、一日単位のみです。
ちなみに、国家公務員の夏季休暇は3日なので、2日多いです。
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例施行規則 第26条
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000356.html?id=j26
年休が使い切れない場合
結論から言うと、消滅していきます。翌年に繰り越しできるのは20日のみだからです。
具体的には、毎年20日付与されるので、12月31日までに20日とらないと、1月時点で20日を超える分は消えていきます。(イメージは下記図を参照)
とはいえ、忙しい部署に配属されて年休20日も取れないときもあるし、消滅分を買い取ってもらったりできるのではと思うかもしれません。
残念ながらそのような制度はありません。全員平等に、繰り越しできない分はなくなっていきます。
ちなみに、新規採用時だと時間単価が2,000円くらいなので、1日(8時間)で16,000円、20日だと320,000円です。年休が消滅することは、そのくらいのお金を失うことと同じです。昇級していけば、当然時間単価もあがるので、失う金額も増えていきます。
つまり、年間20日以上取らないと年休が消滅して損します。
都庁公務員の年休事情
実際の取得日数はどのくらいなのか
平成27年から平成31年(令和元年)の年休取得日数推移は下記図1のとおりです。
直近の平均取得日数は15~16日で推移しています。
毎年、東京都総務局が、「東京都人事行政の運営等の状況」を公表しており、職員1人あたりの平均取得日数が分かります。
過去5年間を見ると、部局によってばらつきはありますが、平均取得日数に大きな変動はありません。
とはいえ、実態はどうなの? そんな15日とか取れるの?
実際、年休取得に関する目標として、「クリア15日、トライ20日」があり、最近は職員への周知も進んで浸透もしています。
その効果もあり、15日以上取る人が多くなってきているので、実態としてもおおむね合っているかと。もちろん、20日以上しっかり取る人もいるし、1ケタで終わる人もいます。
なので、都庁公務員の平均年休取得日数は、15日前後といえます。
東京都人事行政の運営等の状況について
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/03jinji/pdf/hakushotousin/02jinjigyousei.pdf
- 月初に翌月の年休を取る日を決めて、年休予定日として仕事を入れないようにする(例:6月1日に、7月の取得予定日を決めてしまう)
- 年休が取れそうな日に取ろうとすると、どんどん予定が入ってしまい結局取れなくなる
- 職場によっては繁忙期などもあるので、閑散期を狙って計画的にとることが重要。議会がからむ部署は、議会の時期も考慮が必要
- 月に1~2日であれば、仕事にもそこまで影響なく、年間20日クリアできる
年休取得しやすい時季
結論か言うと、5、8、12月です。なぜなら、年休取得推奨月間に指定されているからです。
5月はゴールデンウイーク(GW)、8月はお盆・夏季休暇、12月は年末年始休暇があるので、それとつなげて長期休暇にすることが推奨されています。
日の並びにもよりますが、GWや年末年始休暇と合わせて平日に年休を取れば、9連休以上にすることも可能です。
取得しやすいとはいえ、みんながその期間に取ったら業務にも影響が出るから、実際は下っ端職員とかは取りづらいのではという意見もあると思います。
確かに、同じ期間に誰も職場にいなくなったら支障が出るので、当然各部署で調整があります。ただ、実際はみんなが同じ期間にとることはほとんどないので、問題ありません。逆に、長期休暇を取りやすい期間は、混雑する期間なので、それを避ける人もいます。
なので、年休は、5、8、12月が取得しやすいです。
年休取得日数は人事評価に影響はあるのか
結論から言うと、影響はありません。評価シートに年休取得状況に関する項目がないからです。
ただ、組織として年休15日以上の取得を推進しているため、明らかに取得日数が少ないと印象はよくないかもしれません。むしろしっかり年休を消化している方が、メリハリをつけて仕事していると思われて高評価になるかもしれません。
ちなみに、上司によっては、ほとんど年休を取らない人がいます。休まないで働くことが良いと思っているのかもしれませんが、かまわずに計画的に年休を消化していくことが必要です。
とはいえ、年休を取りすぎると、仕事への意識が低い人と見られて、評価が下がるのでは?
意図的に繁忙期に休んだり、職場へ迷惑をかける場合は別ですが、年休を20日以上取って、評価が下がることはありません。実際に、私は20日以上取り続けていますが、評価が下がったことはないです。
なので、年休を積極的に取っても、評価への影響はありません。
新人は年休を使えるのか
結論から言うと、いきなり使っても問題ないです。
条例に、年休は職員の請求する時季に与えなければならないとあるからです。ただ、その時季が職務に支障のある場合は別です。
4月採用の場合、年休は15日付与されるので、月1日ペースだと、12月まで8日程度取れる感じですね。夏季休暇も5日あるので、それと合わせて、長期休暇にすることも可能です。
とはいえ、実際は入ったばかりだと取りづらいのではと思うかもしれません。
確かに、まだ仕事にも不慣れで、業務のスケジュール感も把握できないため、使いづらいこともあります。
ただ、1年目だと年休15日すべて翌年に繰り越しが可能なので、損することはありません。1年目にあまり使えなかったときは、2年目以降に20日取得を目指して計画的に使用していけば問題ないです。
なので、新人でも年休は取れますが、取れなくても損はしません。
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例 14条3項
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000355.html?id=j14_k1
民間企業や国家公務員等との比較
民間企業の年休取得日数
民間企業における年休平均取得日数の過去5年推移は、下記図2のとおりです。少しずつ増加傾向にはありますが、全体平均として9~10日、大企業でも10~12日です。
ちなみに、2019年4月から全ての企業において、年10日以上年休が付与される労働者に対して、年5日は、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。つまり、5日以上は確実に年休を取らせないとダメですよということです。
なので、5日以上の取得が浸透し消化率が底上げされれば、民間企業の平均取得日数も上がっていくかもしれないですね。
就労条件総合調査(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23c.html
働き方改革関連法解説(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf
国家公務員の年休取得日数
国家公務員における年休平均取得日数の過去5年推移は、下記図3のとおりです。少しずつ増加傾向にあり、全体平均として13~15日です。
地方公務員の年休取得日数
地方公務員における年休平均取得日数の過去5年推移は、下記図4のとおりです。少しずつ増加傾向にあり、全体平均として11~12日です。
令和元年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000724399.pdf
年休取得日数の比較結果
平均年休取得日数の5年平均は、下記表のとおりです。民間企業や国、他の自治体に比べて、東京都の年休取得率が高いことがわかります。
平均年休取得日数(5年平均) | |
---|---|
東京都(5部局平均) | 15.9日 |
民間企業(大企業) | 11.0日 |
国家公務員 | 14.3日 |
都道府県 | 12.0日 |
指定都市 | 13.6日 |
市区町村 | 10.6日 |
まとめ:都庁公務員の年休消化率は高い
今回は、都庁公務員の年休事情について徹底解説しました。
本記事の要約
- 都庁公務員の年休は年20日、夏季休暇は5日
- 実際の平均取得日数は15~16日
- 国や民間企業に比べても消化率が高い
- 年休が取得しやすい時季は、5・8・12月
- 1年目でも年休は取れるが、取れなくても損はしない
年休を使って適度に休むことは、体がリフレッシュされ、新しいアイデアが出たり悩みが解消されたりと、仕事にもいい影響を与えます。
都庁では、年休を積極的に取ることが推奨されているため、休みが取りやすい環境にあります。配属部署にもよりますが、年20日以上取ることも可能です。休暇も充実させて働きたいなら、都庁公務員という選択もアリかと。
今回は以上となります。ありがとうございました。